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ゆたかな丘 News & Events

第1回学校評議員会・地域教育協議会開催

 梅雨に入り、不安定な天候が続いております。
 昨日、PTA代表、自治会代表、民生委員、児童委員等、5名の地域の皆様の御協力を得て、今年度1回目の学校評議員会を開きました。学校の教育活動に対して御意見をうかがい、改善を図ってまいります、あわせまして、ここに地域コーディネーターと学校長を加え、地域教育協議会も開催いたしました。地域の皆様が来校されての学習支援や、逆に、生徒が地域に赴いての体験活動等に際し、学校と地域をつなぐ役割を担います。1年間、お世話になります。
 
    (会議の様子)           (校内見学・授業参観)

 情報を整理して、やることをしぼりこむ

 中学生の皆さんにとっては少し難しい話になってしまいました。
 ここまでをまとめます。
 今、勉強に求められることは「文化の継承」と「文化の創造」です。「文化の継承」は学校教育にずっと求められてきたことで、知識の量と質で測ります。「文化の創造」は新しく求められるもので、問題解決ができることで測ります。でも、問題解決そのものはテストで簡単に測ることができないので、問題解決の力をもっているかどうかを記述式問題で測ります。記述式問題に答えられることは、知識を道具として使えていることになるからです。
 このようにまとめると、中学生の皆さんは「今までよりも勉強しなくてはならないことが増えて大変だ」と思うでしょう。中には「テレビのクイズ番組に出演している人たちは知識量はあるけど、問題解決の力はあるのだろうか」と疑問に思う人がいるかも知れません。
 ……テレビのクイズ番組に出演して、たくさんの知識をもっている人は問題解決の力をもっていると思います。というのは、知識を覚える過程で、情報を収集し、整理し、しぼりこんで覚えるという手続きを踏んでいると思われるからです。その手続きは問題解決に必要な手続きです。
 このように考えると「文化の継承」の力を付けつつ、「文化の創造」の力を付ける方法が見えてきます。それは、勉強の結果だけではなく、そのプロセスも大切にするということです。大切にするプロセスとは、情報を収集し、整理し、しぼりこみ、利用するという情報活用のプロセスです。作戦を立てて、勉強に望むということです。作戦というと仰々しいですが、やみくもにかたっぱしから理解し、暗記するのではなく、情報を整理し、理解や暗記をするのです。やることをしぼりこむということが問題解決の力を高めていくことにつながります。      校長 見目 宗弘

記述式問題が増える理由

 「文化の継承」や「文化の創造」をテストや入試で考えるとどういうことになるのでしょうか。
 文化を継承する力は、従来のテストで診断できます。では、文化を創造する力を診断するには……。その診断は難しいです。何かを創造することは時間がかかり、評価が難しいからです。
 とすると文化を創造する力をテストで評価できないのでは?
 新しい文化は、今までの知的財産を評価したり否定したりして、創造されます。その意味で「文化の継承」と「文化の創造」とはつながっています。つながりは、今までの知的財産が道具になるということです。
 このことから文化を創造する力をテストするには、知識を材料として活用できるかどうか問えば良いことがわかります。出題形式としては次のようになります。

 教育改革が進み、数年後には大学入試が「課題解決型」に移行します。それに合わ
 せて高校入試も変わり、今後は全教科で出題形式や内容の変更が行われると思いま
 す。中でも、記述式問題が増えるのは間違いないでしょう。
 「勉強のコツ 記述解答の出題 今後増加」開倫塾教務本部長 渡辺博(『読売新
 聞』2016年(平成28年)7月17日(日))
 
 知識をコンパクトにし、知識を道具として使いこなせるかどうかを見るために、記述式問題が増えるのです。文化を創造する力の診断です。情報を大つかみに把握し、使うことができる力が重視されます。課題解決の過程、そして、課題解決の手続きがとても大切になってきます。           校長 見目 宗弘

「文化の継承」と「文化の創造」と

 今、求められるのは課題解決の力だと示しました。
 このことを考えるのに適した新聞記事があります。全日本科学教育振興委員会委員長の大木道則氏の「論点『学力』考え方 再考が必要」(『読売新聞』2002年(平成14年)5月3日(金))という記事です。
 大木氏は科学技術振興の立場から学校教育についての意見を述べています。大木氏は「多くの場合、『学力』=『知識量』であるという定義が、見えかくれする。」と、一般的には学力は知識量であるとされていると指摘します。しかし、科学者や技術者はそのような立場とは異なることを述べます。

 しかし、科学者・技術者に「学力」とは何かと尋ねれば、それは子供が持つ知識の量
 だと答える人は、まずいない。科学者たちは、実力は知識の量だけでなく、それを活
 用して研究に役立てることが重要だとよく分かっているからである。
 
 そして、科学者・技術者と国民の多くの考え方の違いを次のように説明します。
 
 それでは、国民の多くが持つ「学力」に関する解釈と、科学者・技術者が持つ解釈に
 差があるのはなぜだろう。その理由は、学校教育において「文化の継承」が重視さ
 れ、創造的な活動が軽視されてきたことによると考えられる。
 
 確かに学校は「文化の継承」を大切にしています。そのため、学習の結果としての知識とその量が大切にされます。大木氏はこのことが次の問題を生じていると指摘します。
 
 まず事実を記憶してしまえという教育は、「なぜそうなのか」と考える人間の基本的
 行為を避けるように働く。これは、科学技術の発展にとって、極めて深刻な負の材料
 なのである。科学の問題にチャレンジする時、いつも正解を教えられていた子供たち
 は「なぜそんな面倒なことをやらねばならないの」という疑問に直面する。知識の中
 に解決法が見つからない場合には、途中で挫折してしまうのはまことに残念なこと
 だ。

 この説明の後、大木氏は次のようにまとめます。

・知識量と、問題解決に努力する力、この二つを兼ね備えた人こそ「学力がある」と言
 われるべきだと私は考える。
・「文化の継承」とともに「新しい文化を創造する」ために、教育や学力に関するとら
 え方を根本的に考え直す必要がある。
 
 大木氏のこの記事は18年も前のものです。先の「中教審答申」を思い出すと、大木氏の指摘した方向で教育は動いているように思います。今、勉強では「文化の継承」ができ、なおかつ「文化の創造」ができることが求められているのです。
                       校長 見目 宗弘

求められる課題解決の力

 では、今、どういう学力が求められているのでしょうか。
 生徒の皆さんが学ぶ教科書は文部科学省の示す「学習指導要領」というものを受けて作られています。「学習指導要領」でAについて学習する必要があると示されると、教科書にAのことが載るようになります。
 その「学習指導要領」に影響を与えるのが、「中教審答申」です。これは専門家の人たちが集まって、教育について議論し、「これからの教育はこうあるべきだ」と示したものです。平成28年に示された「中教審答申」には次のようにあります。

 “今学校で教えていることは時代が変化したら通用しなくなるのではないか”といっ
    た不安の声もあり、それを裏付けるような未来予測も多く発表されている。
 
 現代は、時代の変化が速く、学んだことが役に立たなくなるのではないかという指摘です。このような時代だから、次のことが求められます。

 解き方があらかじめ定まった問題を効率的に解いたり、定められた手続を効率的に
 こなしたりすることにとどまらず、直面する様々な変化を柔軟に受け止め、感性を
 豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生を
 よりよいものにしていくのかを考え、主体的に学び続けて自ら能力を引き出し、自
 分なりに試行錯誤したり、多様な他者と協働したりして、(中略)よりよい社会と
 幸福な人生の創り手となっていけるようにすることが重要である。
 
 長い1文ですが、要は今までの学力にとどまらず、課題を解決する力を付けることが大切であるということです。とても難しいことが教育に課せられました。なぜなら、課題を解決するのは、大人でも簡単ではないからです。
 次回はもう少し、このことを掘り下げて考えてみましょう。 校長 見目 宗弘

求められる学力が変わってきている

 まず、勉強について考え直してみたいと思います。
 勉強方法さえ分かれば、勉強について考えなくても良いように思います。しかし、勉強について考えなくてはならないのは、求められている学力が変わってきているからです。求められている学力が変わってきているということは、テストや入試の問題も変わりつつあるということです。記述式の問題が増えてきているのはそのためです。これらに対応するためには、対応できる力をつけるための学習方法が選択されるべきです。だから、勉強について考える必要があるのです。     校長 見目 宗弘

最適な勉強方法は目的や内容によって変わる

 さて、いよいよ第3部の勉強方法に入ります。
 方法を考える上で大切なのは、目的や内容が違えば最適な勉強方法も変わるということです。また、一人一人の情報処理の仕方も違うので自分にあった最適な勉強方法も違います。そのためネットで「勉強方法の本」と検索すると非常にたくさんの本が検索され、たくさんの方法があることがわかります。
 ここでは、勉強方法をカタログ的に示すのではなく、勉強法を考える上で基本となる大切なことをおさえていきたいと思います。具体的な方法については生徒の皆さんが「自分にあった方法」を試行錯誤しながら見つけていってほしいと思います。(後に述べますが、この試行錯誤という手続きが今、求められている学力ではとても大切なのです。)
 以下、勉強方法について、大きく4つに分けて述べていきます。勉強について、理解について、定着について、応用についての4つです。    校長 見目 宗弘

生徒集会・生徒会専門委員会実施


 今年度初めての生徒集会を校内放送で行いました。生徒会役員の話が主で、今年度のスローガン「ONE TEAM 自由な心でつくりあげる みんなの豊中」も発表されました。いつもの年のようにいかないことが多く、苦労することも予想されますが、全校生徒心一つに頑張ってほしいと願っています。

 終了後生徒会専門委員会が続き、それぞれ組織づくり、活動計画立案などを行いました。今後、各自責任をもって活動に取り組んでくれることを期待しています。

学校支援ボランティア募集(お知らせ)

 日光市教育委員会事務局生涯学習課より

 この事業は、「地域と学校が協力・連携して、日光に住む大人たちが、
日光の子どもたちをみんなで応援しよう。」という事業です。

 興味がある方は、
 生涯学習課 21-5182
 にお問い合わせ下さい。

 また、募集チラシが学校に数枚届いています。
 興味がある方は、連絡下さい。(担当岩井)

 ボランティア例
 農園活動ボランティア
 読み聞かせボランティア
 花壇の整備ボランティア・・・様々あります。

根気という学力

 努力し続けるには根気が必要です。この根気を岸本裕史氏は「見えない学力」と言いました。岸本氏は学力を支える大切なものとして3つの「見えない学力」をあげています。言語能力、根気、先行経験です。見える学力を上げるにはこれら3つの「見えない学力」を大切にする必要があると言います。
 岸本氏は根気を「深部の学力」と呼びます。
 
 そして、家庭で毎日、何かの仕事をきちんと当てがうことです。すると、仕事だけで
 なく、勉強もおしまいまでちゃんとやり通す根気ができてきます。(中略)しつけ
 は、勉強と無関係のように見えますが、じつは"深部の学力"なのです。p.18
  『家庭でのばす見えない学力』岸本裕史著(小学館)
 
 勉強量を確保するには根気が必要で、その根気をつけるには、仕事を最後までやり通すことが必要である。つまり、「勉強ができるようになるには生活をしっかりすることが必要である」という結論です。
 これは詩人の大岡信さんが「言葉の力」というエッセイで書いていたことと同じです。桜の木は花のピンク色を出すために木全体でピンクになっている、人間の言葉も同じだと大岡さんは言います。勉強も同じです。自己を律する生活をすることで、根気強く努力を続けることができるようになり、勉強の花が咲くのです。生活が勉強の花を咲かせています。
 特にがまんの「入力の時期」。自分を律する生活をし、根気をつけていきましょう。
                         校長 見目 宗弘

努力しても結果が出ないとき

 勉強量を増やせば、学習の成果も出る、そう考えたいですが、残念ながらそうならない時もあります。特に勉強を始めた最初の段階がそうです。そんな状態を予備校講師の安河内哲也氏は次のように説明しています。

 当たり前の話ですが、勉強というのは基礎からやらなくてはいけません。その基礎を
 学んでいる3ヵ月、5ヵ月というのは、成績が上がらない。基礎が身に付いて、模試
 のレベルに近づいてようやくバンと上がるのです。p.121
 『今日から始める「やる気」勉強法』

 ある程度、わかってきてから一気に分かるようになるのです。そのため時間がかかるのです。漆校長先生はこのことを「入力の時期」「出力の時期」とダムにたとえています。

 あるときを境に急速に成績を伸ばす生徒を、いままで何人も見てきました。この子た
 ちに共通することは、本人が意識している、していないにかかわらず、それまでの隠
 れた積み重ねがあることです。(中略) ダムにたとえれば、最初のうちは、水をため
 る「入力の時期」が長く続き、ある日を境に、大量の水を放水できる「出力の時期」
 がくるようなものです。pp.163-164
 『伸びる子の育て方』品川女子学院校長漆紫穂子著(ダイヤモンド社)

 「入力の時期」はどの世界にも共通のものです。大人でも新しい職場では、物のある場所さえわからずに思うように仕事ができません。中学生なら部活動に入部したときがそうです。一通り分かるには時間がかかるのです。それが「入力の時期」です。
 この間は根気強く努力を続けなければなりません。「やる気をキープするための努力の貯金」でも書いたように今までの頑張りを振り返り、意欲をキープし続けることです。                        校長 見目 宗弘

交通安全教室開催


 昨日、1年生を対象に交通安全教室を実施いたしました。日光市から3名の交通教育指導員を招き、安全な自転車の乗り方などに関して御指導いただきました。自転車点検時のポイントについて説明を受けた後、校庭に設置した模擬道路を使って、実際に自転車走行をしました。生徒達は、途中チェックポイントを通過しながら、一時停止や左右後方の目視など、走行時の留意点を確認しました。

 

小さな時間を有効活用

 ふだん見過ごしているちょっとした時間を活用するという発想があります。社会人に向けて書かれた『すごい「勉強法」』高島徹治著(三笠書房)という本に示されていたことです。この本の中では時間が3つに区分されています。大時間、中時間、小時間です。大時間は土曜日や日曜日等、1日をフルに使える時間です。大時間の時間の中ではまとまった作業をすることができます。中時間は平日の家に帰ってからの時間です。約2、3時間。ある程度のことができます。小時間は15分前後の時間です。高島氏はこの時間を次のようにいいます。

 「勉強のできる人」と「できない人」の差は、小時間(細切れ時間)の使い方にあ
 ると言っても過言ではありません。p。138

 
 高島氏は、多くの人はこの小時間に気づいていず、「時間がない」と言っていると言います。
 小時間は作業をするには短か過ぎる時間です。この時間は電車を待つ間とか外に出かける前の時間とか、ちょっとした隙間の時間で、机で勉強できないような細切れの時間です。
 けれど、この時間に合った学習をすれば、小時間も有効な学習時間となります。例えば、暗記です。何かを暗記する時間として活用すれば、時間的にもちょうど良い時間となります。そのためには、中時間や大時間にその準備をしておくことが必要です。
 時間を上手に活用することで、限られた時間の中で量を確保することができます。
                         校長 見目 宗弘

部活動再開

 先週は、体を慣らす意味合いもあって、部活動はありませんでした。昨日から、まだ短い時間ながらも部活動を再開し、1年生も部活動見学を始めました。校舎内には吹奏楽部の楽器の音色が、校庭や体育館では運動部員の元気な声が響いていました。人との距離や対話などに注意しながらも、徐々に以前までの学校生活を取り戻しつつあります。

勉強の効果を倍増させる読書の習慣化

 スマホとは反対に実際に行った勉強の効果を倍増させる方法があります。それは読書です。読書は脳全体を使った活動です。読書の時間は脳がトレーニングをしているのと同じ状態になります。『最新脳科学でついに出た結論「本の読み方」で学力は決まる』川島隆太監修、松﨑泰・榊浩平著(青春出版社)には次の説明があります。

 
 本を読むとブローカ野、ウェルニッケ野、前頭前野という脳の大都市間に言語情報 
 が駆け巡ります。つまり、読書を毎日することで言語能力に関する神経迂回路網を
 走る情報の交通量が増大し、脳の大都市間をつなぐ太く強固な神経線維の束による
 高速道路が開通するというわけです。ちなみに、一般に言われる「頭の回転が速
 い」人は、ものごとを理解するのが速かったり、話の要点をつかむのが上手だった
 りしますよね。脳科学的には、読書を通した言語能力に関する神経回路の強化が、
 そのような頭の回転の速さにもつながる可能性があると言えるでしょう。pp.
 99-100

 
 読書を習慣化し、その上で勉強すると努力が結果に反映されやすくなります。       
                       校長 見目宗弘

努力を台無しにしてしまうスマホの長時間使用

 勉強時間を確保しても、その努力が無駄になってしまうことがあります。昨年度の学校だよりでもお伝えしたスマホやゲームの長時間使用です。スマホやゲームを1時間以上使用すると脳の活動が抑制されてしまうので、勉強の効果がなくなってしまうのです。
 このことを川島隆太先生の『スマホが学力を破壊する』(集英社新書)をもとに再確認していきます。川島先生は平成25年度、仙台市立中学校に通う全生徒2万2390名の仙台市標準学力検査、仙台市生活・学習状況調査の結果を分析して、学力と生活習慣との相関関係を次のようにまとめました。まずは全体的な相関関係です。

 児童・生徒の学習意欲を向上させるためにまず肝心なのは、基本的な生活習慣でし
 た。特に朝食の習慣です。家族で一緒に豊かな朝食を食べることが、子ども達の学習
 意欲を向上させ、結果、学力も向上します。次いで大切なのは、家族とのコミュニケ
 ーションでした。話をきちんと聞いてくれる家族がいる子ども達の学習意欲が高いこ
 とがわかりました。プロジェクト開始当初は、学校で教師が子ども達にどう接する
 か、どのような授業を行うか、どのようなクラスを運営するのかが、子ども達の学習
 意欲に強く関わるとばかり思っていたのですが、答えは違っていました。家庭で家族
 がきちんと子どもと向き合うことが、子ども達の学習意欲の源泉だったのです。p
 p.16-17

 そして、勉強時間とスマホとの相関関係です。
 
 最初にわかることは、自宅学習時間が長いほど成績が良いという当たり前の事実。次
 いでわかるのは、自宅で勉強しようが、するまいが、携帯・スマホを使う時間が長い
 生徒達の成績が悪いという事実。さらに細かく読み取っていくと、たとえ家で2時間
 以上勉強したとしても、携帯・スマホを3時間以上つかってしまうと、ほとんど家で
 勉強をしないけれども携帯・スマホを使わない生徒達の方が、成績が良くなってしま
 うという事 実。p.18
 
 スマホを3時間以上使うと勉強を2時間以上しても、ほとんど勉強しない生徒の方が成績が良くなってしまうというのはショックです。
 先ほど脳の活動が抑制されると書きましたが、スマホやゲームの長時間使用は情報処理をし、思考の中枢を担う前頭前野に影響を与えてしまうからです。
 
 しかし、ゲームに慣れたとたんに、前頭前野が活動しなくなるばかりか、何故か逆
 に、安静時よりも活動量が少なくなる前頭前野の「抑制現象」が生じたのです。どの
 ようなゲームでも前頭前野に強い抑制がかかりました。p.180
 
 こうなると、ただ単に勉強時間を増やせば良いということではなくなります。効果が出るように生活を整えてから、勉強時間を増やすということが大切になります。脳の抑制に影響が出ないスマホ等の使用時間は1時間未満だと言われています。
                       校長 見目 宗弘

集中するために必要な休憩時間

 集中力を切らさないようにしながら、勉強の量を増やす。このための1つの方法として、分散学習がありました。集中を持続させるためには休憩時間をしっかりとることも大切なことです。次の引用にあるように、受験生には「休んではいけない」という意識が働きがちです。しかし、休憩時間を効果的にとることで集中力が持続します。

 計画を立てることが上手な生徒は、休憩時間の入れ方も上手です。休むことの重要性
 を体験的に知っているのでしょう。ある生徒が、休憩をとることの大切さを、こう力
 説していました。
 「私は、それまで勉強の合間に休憩をとっても、あまり休んだ気になれませんでし
 た。ただでさえ時間が足りないのに、『休んでいいのか』という焦燥感がつきまとう
 のです。でも、あるときから『いまは休憩時間。目標達成のために必要な時間』と割
 りきったことで、気分がすっきりしました。切り換えがうまくなり、結果として勉強
 にも集中できるようになりました」 (中略)
 人の集中力はそう長くは続きません。「3年後に楽しいことがあるから」というご褒
 美では、とても体はもちません。1か月のなか、1週間のなか、1日のなかに休憩時
 間を設けて、適度な息抜きをするほうが結果として効率がいいのです。p.161
  『伸びる子の育て方』漆紫穂子著(ダイヤモンド社)より

 休憩時間をとることで、集中力が持続し効果が上がります。休憩時間をとり頭をリフレッシュさせましょう。        校長 見目 宗弘

フェイスシールド寄贈

 長い、長い臨時休業明けの1週間。部活動なしとはいえ、毎日6時間授業を受けた生徒達。暑さも相まって相当疲れたことでしょう。週末には、まず体調を整えていただければと思います。ただ、疲れた中にも、仲間とともに学習し生活できたことは、何ものにも代えがたい喜びだったのではないでしょうか。
 ところで、先日マスクを寄贈してくださった渡辺産業様より、今度は生徒数分のフェイスシールドをいただきました。本格的に授業が始まった今、大変ありがたいお申し出で、職員一同心から感謝しております。今後、有効な活用方法について検討してまいります。

集中する環境を作る

 勉強に集中するという、細かなところに入ってきました。
 集中するためには集中できる環境を作ることです。例えば、勉強机にマンガやゲームを置かないということです。

 とにかく「マンガやゲームは勉強机以外の場所で」と徹底することです。p.
 142 『伸びる子の法則 自ら学ぶ習慣が身につく学習法』家庭教師のトライ専
 務取締役 森山真有著(PHP文庫)

 
 勉強に行き詰まったときに、マンガやゲームが手元にあるといつの間にか時間を忘れて遊んでしまいます。そのための環境作りです。
 環境を整える例として、『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』池田潤著(サンマーク出版)には次のことが載っています。

 自分の「集中環境」はどこにあるのか、ということをぜひ考えてみてください。
 最低限、これだけは揃えておいたほうが良いと思うことを挙げてみます。
 ・自分に合った机と椅子の高さにする(個人的には低めのものがオススメです)
 ・机の上の整理整頓
 ・勉強する部屋の整理整頓(家で勉強する場合)
 ・騒音がしない場所
 ・誘惑(テレビ、ゲーム、漫画など)が少ない場所
 ・使いやすい筆記用具
 ・気温は適温を保つ などなどpp.139-140

 
 理想は「さあ、勉強」という時にすぐに勉強に入れる環境を整えることです。机の上の整理整頓は基本的なことで、とても大切なことです。どこに何があるかわかるように整理されていると、勉強中、集中がとぎれないからです。 校長 見目 宗弘

集中して取り組むための「時間のブロッキング」

 勉強量を確保してもだらだらと勉強していたのでは、効果が上がりません。そこで勉強と休憩、遊びのメリハリをしっかりとつけることです。そのために、必要なのが「時間のブロッキング」です。次の説明の通り時間をブロックすることです。

 集中力を失わないために必要なこと。それは、「時間のブロッキング」です。ブ
 ロッキングとは何かというと、時間をブロックして、やると決めた活動のみに集中
 し、他の活動を徹底的に排除する方法です。例えば、14時から16時までは読書
 の時間。16時から17時まではジムで運動。このように、あらかじめ何に時間を
 使うかを決めておき、他のものは徹底的にブロックすることをこう呼んでいます。
 大事なのは、"徹底的に"他の活動を排除するということです。p.133
 『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』池田潤著(サンマーク出版)

 
 勉強に集中するために「この時間は勉強する時間」と決めることです。
 また、集中力を高めるためには、分散学習が効果的です。分散学習は時間を分けて学習することで心理学の用語です。対になる語が集中学習で、次の説明の通りです。

 
 例えば試験範囲の英単語を覚えるのに、テスト前日に2時間かけて覚えるのが「集
 中学習」、これに対して、1日1時間ずつ2日に分けて覚えたり、30分ずつ4日
 に分けて 覚えるのが「分散学習」です。p.20
  『学習支援のツボ 認知心理学者が教室で考えたこと』佐藤浩一著(北大路書房)

 
 心理学の世界では分散学習の方が集中学習よりもよいという結論が出されています。理由は次の通りです。


・人間の集中力はそう長くは続かないから。
・1日にたくさんの内容を詰め込もうとすると、それらが整理されないままになり、
 頭の中が混乱してしまうから。

 
 勉強量を考える場合、量と同時に「いかに集中して取り組めるか」を同時に考えることが大切になってきます。そうでないと、量を確保した意味が薄れてしまうからです。                          
                          校長 見目 宗弘