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努力を台無しにしてしまうスマホの長時間使用

 勉強時間を確保しても、その努力が無駄になってしまうことがあります。昨年度の学校だよりでもお伝えしたスマホやゲームの長時間使用です。スマホやゲームを1時間以上使用すると脳の活動が抑制されてしまうので、勉強の効果がなくなってしまうのです。
 このことを川島隆太先生の『スマホが学力を破壊する』(集英社新書)をもとに再確認していきます。川島先生は平成25年度、仙台市立中学校に通う全生徒2万2390名の仙台市標準学力検査、仙台市生活・学習状況調査の結果を分析して、学力と生活習慣との相関関係を次のようにまとめました。まずは全体的な相関関係です。

 児童・生徒の学習意欲を向上させるためにまず肝心なのは、基本的な生活習慣でし
 た。特に朝食の習慣です。家族で一緒に豊かな朝食を食べることが、子ども達の学習
 意欲を向上させ、結果、学力も向上します。次いで大切なのは、家族とのコミュニケ
 ーションでした。話をきちんと聞いてくれる家族がいる子ども達の学習意欲が高いこ
 とがわかりました。プロジェクト開始当初は、学校で教師が子ども達にどう接する
 か、どのような授業を行うか、どのようなクラスを運営するのかが、子ども達の学習
 意欲に強く関わるとばかり思っていたのですが、答えは違っていました。家庭で家族
 がきちんと子どもと向き合うことが、子ども達の学習意欲の源泉だったのです。p
 p.16-17

 そして、勉強時間とスマホとの相関関係です。
 
 最初にわかることは、自宅学習時間が長いほど成績が良いという当たり前の事実。次
 いでわかるのは、自宅で勉強しようが、するまいが、携帯・スマホを使う時間が長い
 生徒達の成績が悪いという事実。さらに細かく読み取っていくと、たとえ家で2時間
 以上勉強したとしても、携帯・スマホを3時間以上つかってしまうと、ほとんど家で
 勉強をしないけれども携帯・スマホを使わない生徒達の方が、成績が良くなってしま
 うという事 実。p.18
 
 スマホを3時間以上使うと勉強を2時間以上しても、ほとんど勉強しない生徒の方が成績が良くなってしまうというのはショックです。
 先ほど脳の活動が抑制されると書きましたが、スマホやゲームの長時間使用は情報処理をし、思考の中枢を担う前頭前野に影響を与えてしまうからです。
 
 しかし、ゲームに慣れたとたんに、前頭前野が活動しなくなるばかりか、何故か逆
 に、安静時よりも活動量が少なくなる前頭前野の「抑制現象」が生じたのです。どの
 ようなゲームでも前頭前野に強い抑制がかかりました。p.180
 
 こうなると、ただ単に勉強時間を増やせば良いということではなくなります。効果が出るように生活を整えてから、勉強時間を増やすということが大切になります。脳の抑制に影響が出ないスマホ等の使用時間は1時間未満だと言われています。
                       校長 見目 宗弘