過去のブログ

2020年6月の記事一覧

まず最初に、自分を理解する

 勉強関係の本を読んでいて意外と記述が少ないのがこの「理解する」ということについてです。理解したことを前提として多くの勉強方法が語られている感じがして、「勉強がわからない」「勉強方法がわからない」という声の大元はここにあるのだなと思います。
 さて、理解について深く掘り下げる前に、見落としがちな面を最初に押さえておきます。それは自分自身についての理解です。自分自身についての理解の大切さを述べているのは伊沢拓司さんです。伊沢さんは次のように述べています。伊沢さんの説明の中の「対策」はテストの対策のこと、「相手」は学習内容のことです。

 「対策」という言葉を聞くと、どうしても相手のことばかりに意識が行ってしまい
 がちです。しかし、戦いの場に立つのは、相手ともうひとり、自分がいます。勝負
 の変数は2つあるのです。相手がx、自分がyの2元方程式であり、両方に数字を
 入れないと答えは出ません。そもそも対策といった時に相手のことばかりが意識さ
 れてしまうのは、「自分のことは自分がよく知っている」という前提があるからだ
 と僕は思うんです。しかし、果たしてみなさんは自分のことを理解している、と言
 い切れるでしょうか?ぼんやりとは理解しているとは思います。(中略)しかし、
 ゲームのプレイヤーデータを見るような客観性で自分を分析し、それに対して対策
 を取る、みたいなことができる人は少ないはずです。pp.49-50   『勉強大
 全』伊沢拓司著(KADOKAWA)
  
 まず、自分のことを理解していないといくら良い学習計画を立てても誘惑に負けてしまい実行に移せません。学習計画が絵に描いた餅になってしまいます。だから、伊沢さんは自分への対策の必要性を述べます。

 
 自分の弱い面を「知らないふりをして放置する」のではなく、「知った上で、その
 正確を前提とした対策を取る」のです。夕飯を食べた後に怠けてしまうようなら、
 食後はお風呂タイムにして、食事前や入浴後に勉強するとか。p.51

 
 伊沢さん自身はゲーセンが大好きなので、その前を通らないように対策を立てているということです。
 自分を理解するということは勉強法を考える際の出発点です。自分を理解し、計画が実行に移せるような対策を立てて勉強に取り組みたいところです。  
                           校長 見目 宗弘

勉強法を考える順番

 前置きが長くなりましたが、いよいよ勉強方法について見ていきます。勉強方法を考える際、「理解」→「定着」→「応用」という順番で詳しく見ていきます。この順番は新聞の次の記事を参考にしたものです。
 
 【理解】
 理解とは、「うん、なるほど」とよくわかることです。まず、予習で教科書・テキ
 ストを読み、自分の分からないところを明らかにします。授業では、わからなかっ
 たところを集中的に聞き、教科書に書かれていないことや、先生が強調しているこ
 とをメモに取ります。さらに疑問があれば、先生に必ず質問して、その日のうちに
 解決するように努 めてください。
 【定着】
 授業を受けたその日のうちに、復習として、3大練習(音読・書き取り・計算)や
 教科書の例題・基本問題に取り組みます。一度覚えたことも、1日たつと半分以上
 を忘れてしまいます。理解した内容を確実に身に着(ママ)けるためには、何より繰り
 返すことが大切です。①大事なことが口をついてスラスラ言える②楷書で正確に書
 ける③基本的な問題 は見た瞬間に答えが出せる—状態になれば、定着したと言え
 ます。
 【応用】
 応用とは、理解・定着したことを「用いる」こと、つまり得点力を身に着(ママ)ける
 ことです。そのために取り組むのが問題練習と間違いノート作りです。教科書や
 ワーク、テストで間違えた問題を記録します。このとき、間違いはそのまま残して
 おくのがポイントです。解答・解説をよく読み、間違えた理由や注意点を赤ペンで
 書き込みます。自分がどの段階でつまずいたのか、何が原因なのかを繰り返さない
 ために必要な練習に取り組むことで、得点力を高めることができます。
 「受験必勝ゼミナール 新学年 学習のポイント」開倫塾講師 緒方滋泰
 『読売新聞』2014年(平成26年)4月4日(金)

 
 この説明を参考にして、これから「理解」「定着」「応用」を深く掘り下げて、勉強方法を考えていきたいと思います。        校長 見目 宗弘

勉強する目的

 勉強について整理すると、大変なことをしなくてはならない気持ちになり、「知識を覚えたり、情報活用力をつけたり、そこまで大変な思いをしてわざわざ勉強しなくても良いです」という声が中学生の皆さんから聞こえてきそうです。しかし、それは教育が当たり前に施されている日本にいるから思えること。
 今から100年以上も前の話になりますが、学校制度ができた頃のイギリスでは「子どもは大切な労働力なのに、どうして子どもを学校に行かせなくてはならないんだ。」と、保護者が学校に殴り込みに行ったという記録が残っています。このような歴史を振り返ると、学校に来て勉強することは、皆さんの大切な権利であるように思います。
 自分自身のために、勉強するという権利を行使してほしいと思います。その上で、次のような言葉があることを心のどこかにとどめておいてくれたら、うれしいです。
 
 人はなぜ勉強しなくてはいけないのか。私自身の考えを申しますと、「人や社会の役
 にたつための勉強する」が答えです。他者の役に立つために、私たちは生まれてき
 た。愛する家族のため、愛する隣人のため、愛する社会のために私たちは生きている
 のだと、そう考えています。p.16
 『伸びる子の法則 自ら学ぶ習慣が身につく学習法』森山真有著(PHP文庫)
                                                         校長 見目 宗弘

勉強のプロセスも大切にする

 前回、勉強において情報活用のプロセスが大切だと書きました。クイズの東大王の伊沢拓司さんもクイズに答えるためにそのような取組をしていることを著書『勉強大全』(KADOKAWA)に書いています。

 僕は万物を少しずつ知って極めようとしたのではなく、番組を分析し、頻出の問題を
 集め、自分の苦手形式を繰り返すことで弱点を埋めていったのです。p.47
 
 伊沢さんは分析し、情報を収集し、しぼり込み、知識を獲得しています。知識を獲得するプロセスが課題解決の過程となっています。このような取組であれば、プロセス自体も財産です。このような取組をするから受験勉強も財産となります。
 
 今振り返ると、受験勉強は、その後の僕の人生に役立ったと思います。学歴や勉学の
 話ではありません。自分を目標の前に立たせ、攻略法を考え、自己分析で弱点を直視
 し、一日一日進んでいく。その過程で、今後の人生での難題への向き合い方を、わず
 かばかりでも知ることができた、そんな気がします。p.354
 
 中学生の皆さんの関心はいかに覚えるかということだと思いますが、取り組み自体も大切にしてほしいと思います。「どう理解し覚えるか」「どう活用するか」を考え、工夫を凝らしながら勉強するということです。勉強を通して、課題解決の手続きを身に付けることは人生にとって大きな財産となると思います。  校長 見目 宗弘

第1回学校評議員会・地域教育協議会開催

 梅雨に入り、不安定な天候が続いております。
 昨日、PTA代表、自治会代表、民生委員、児童委員等、5名の地域の皆様の御協力を得て、今年度1回目の学校評議員会を開きました。学校の教育活動に対して御意見をうかがい、改善を図ってまいります、あわせまして、ここに地域コーディネーターと学校長を加え、地域教育協議会も開催いたしました。地域の皆様が来校されての学習支援や、逆に、生徒が地域に赴いての体験活動等に際し、学校と地域をつなぐ役割を担います。1年間、お世話になります。
 
    (会議の様子)           (校内見学・授業参観)