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2020年6月の記事一覧

新聞に出ていた、読むことで理解する事例

 新聞に出ていた、読むことで理解を深める事例を紹介します。国語の場合は教科書の理解ではなく、読むこと自体の力をつける事例です。

 国語 コラムを読み、読む力をつける
 特にお薦めなのは、1面にあるコラム(読売新聞では「編集手帳」)です。タイムリ
 ーな話題が比較的短い文章で、「起承転結」の組み立てで書かれているため、とても
 読みやすいです。また、見出しがないため、先入観をもたずに読むことができます。
 そこで、家族の皆さんや友達と一緒に同じコラムを読んで見出しをつけ、その理由や
 内容について意見交換してみましょう。 開倫塾 津久井幸「新聞で考える力をつけ
 よう」『読売 新聞』2016年(平成28年)8月14日(日)
 
 社会 教科書の音読
 あらゆる教科の学習の基本は教科書です。ですから、社会もまずは教科書の全内容を
 覚える意気込みで声を出して読む音読にはげんでください。 開倫塾 鈴木一昭「分
 野別 歴史年表を作ろう」『読売新聞』2016年(平成28年)5月1日(日)
 
 数学 参考書を繰り返し読む
 市販の参考書には大きく2つのタイプがあります、1つは、高校受験に必要な知識が
 網羅されているもの、もう1つは、基礎・基本の理解に重点を置き、テーマを絞って
 詳細に解答や解説をしているものです。参考書は自分のレベルに応じたものを選ばな
 ければなりません。苦手克服には、「理解」に重点を置いた後者が適切です。1度読
 んでわからなくても、間をおいて、2度、3度と繰り返し読みましょう。そうする
 と、少しずつ内容が頭に入ってくるようになります。根気よく、理解しようと努める
 ことが重要です。
 開倫塾 和田英明「数学 パターン習得で向上」『読売新聞』2014年(平成26
 年)6月27日(金)
 
 理科 教科書や参考書の音読
 体温では、「恒温」は周りの温度が変化しても体温がほぼ一定に保たれ、「変温」は
 周りの温度変化に伴って体温が変化します。このように、教科書に出てくる語句一つ
 ひとつの意味をしっかり理解することがたいせつです。教科書や参考書をよく音読す
 ることをお勧めします。 開倫塾 岡部正行「理科 疑問持つこと大切」『読売新
 聞』2017年(平成29年)7月17日(月)
 
 英語 教科書の音読→語句調べ→日本語訳→英文に直すこと→○つけ
 そこで、その日に学習した教科書のページを音読しましょう。音読の際に、読み方や
 意味がわからなかった場合はすぐに調べましょう。その後、教科書の本文の日本語訳
 が自分でできるかをノートに書き出して確認しましょう。次に、ノートに書いた日本
 語を英文に直す作業をしましょう。英文を書き終えたら、教科書の内容と比較して、
 間違えた部分を赤ペンで直し、間違えた文章や単語を覚えるまで声に出しながら書く
 練習をしましょう。開倫塾 津久井幸「英語 まず教科書音読」『読売新聞』201
 7年(平成29年)6月26日(月)
 
 各教科、あくまでも1つの事例ですが、教科書の音読を大切にすることで、かなり理解できることがわかります。                                    校長 見目 宗弘

教科書を何回も音読すること

 教科書を読むときに何回も音読するとさらに効果的です。『東大生が選んだ勉強法「私だけのやり方」を教えます』東大家庭教師の会著(PHP)には、文科3類2年の内田成美(仮名)さんの「教材は教科書一本で勉強していた」という報告が載っています。その方法は次のものです。

 「何度も繰り返し読み、流れを頭の中に入れていました。読むときには、ペンなども
 持たずに、本を読むのと同じような感じで。特に手で書いたりしなくても、何度も繰
 り返し読んでいくだけで、内容が頭の中に入ってくるものですよ」pp.15-16
 
 内田さんは教科書の読み方のコツを説明します。
 
 「全部を丸暗記しようというのではなく、全体の流れをつかみ、出てくる用語が全部
 理解できていればよし、という意識でやっていました。難しくてわかりにくかったと
 ころは、立ち止まって調べる。そして、日を改めて再開するときには、前回立ち止ま
 ったところに少し戻り、そこから読んでいくようにしていました」。p.16
 
 全体の流れをつかむ→用語を理解する→わかりにくいところを調べる→再び、読むという流れです。さらに内田さんの勉強法は速読で読むことに特徴があります。
 
 「時間を短縮するために、なるべく速いスピードで読んでいました。速く読むと、そ
 れだけ多くの内容に目を通せますから。それと、テストに向けての訓練、といった意
 味合いもある。例えば英文などの場合、実際のテストでは、あまり時間がないなかで
 長文を読み解かなくてはならない。そのため、日頃から速く読んで理解できるよ
 うに、と頑張っていました」。p.16
 
 速読ができるようになるには何回も繰り返し読むことが必要です。読み込むうちにスピードが上がります。
 
 「初めはゆっくり読み、理解していく。その後、何度も読んでいくと、用語の意味や
 人名などが頭の中に入ってくる。すると、回を重ねるごとに、速く読めるようになっ
 てきます。最終的には、内容がほぼ頭の中に入っているので、サーッと流して読める
 ようになる。何度も読んで完璧に理解すれば、その文章をザッと流し見するだけで、
 不思議と目から頭の中へと内容がスムーズに入ってくるような感覚になるんです」。
 p.17
 
 内田さんの例は、何回も読むことで理解が進み、内容も覚えてしまったという例です。覚えなくても繰り返し教科書を読むことで、理解が深まることは確かです。読むときに音読が良いのは、音読すると読み飛ばしがなくなり、内容が頭に入ってくるようになるからです。最初はおおまかな理解でよいのです。繰り返す中で細部を理解できるようになります。                 校長 見目 宗弘

理解はインプットである

 勉強の最初はインプットです。予習であれば教科書の文章を読むこと、授業であれば先生の話を聴くことがそれにあたります。
 
 では、最も基本的な学習とは何でしょうか。それは、文章を読むことです。すべて
 はそこから始まると言っても、過言ではありません。まずはリラックスして机に向
 かい、落ち着いて本を読む癖をつけることが大切です。(中略)文章を読む、人の
 話を聴く、そして文章を書く。これが勉強の基本です。その最初の部分でつまずい
 てしまっては、その後の勉強すべてに支障を来してしまいます。pp.82-83
 『伸びる子の法則 自ら学ぶ習慣が身につく学習法』森山真有著(PHP文庫)

 
 このインプットが案外おろそかにされている傾向にあります。教科書を丁寧に読む、教科書を繰り返し読むということです。教科書を繰り返し読むことで自力で理解できることが多いのではないでしょうか。
 インプットをより効果的にするには、家で予習し、授業で質問するという流れを作ることです。

 私は、予習は「した方がいい」という考えです。その理由は2つあります。第一
 に、教科書を一通り読む程度の予習であっても、それによって次にどんな勉強をす
 るのかわかります。たとえ内容がよくわからなくても、「次はわかりにくそうだ」
 という見通しを持つことができます。それだけでも、授業に臨む姿勢が違ってくる
 でしょう。第二に、予習して少し内容がわかったとしても、おそらく、わからない
 ところもあるはずです。そうすると、「ここは注意して聞こう」といった構えがで
 きます。つまり難しいところ に適切にエネルギーを振り向けることができるので
 す。p.41
 『学習支援のツボ 認知心理学者が教室で考えたこと』佐藤浩一著(北大路書房)

 
 予習の目的は「難しそうなところ」「わからないところ」を明らかにすることです。それらを明らかにした上で、授業に臨むことで聴くべきところに力を集中することができるのです。予習によって「読む→聴く」という2つのインプットができ、インプットが確実になります。授業ではわからないところをどんどん質問して欲しいと思います。                  校長 見目 宗弘

 理解を知る6つの視点

 数学で「何を問われているのかがわからない」と思った問題が、後で先生から解説を聞いてみると実は難しくなく、自力で解けた問題だったという経験が生徒の皆さんにはあったと思います。最初に「何を問われているのかがわからない」と思ってしまったところに、理解というものの性質が色濃く出ています。理解は感情に左右されてしまうものなのです。
 理解について詳しく知ることは、勉強の質を高めることにつながります。理解について、以下、次の6つの視点から見ていきます。

 1 理解はインプットである。
 2 理解には理解する素地が必要である。
 3 理解は際限がない。
 4 理解は説明の仕方、説明内容、説明者に左右される。
 5 アウトプットで理解が確かになる
 6 理解の当面のゴールはトップダウンの情報処理である。

                            校長 見目 宗弘

理解してから覚える

 勉強方法を考える上で一番大切なのがこの「理解」の部分です。しかし、多くの人が「定着」に意識があり、理解していないまま定着させようとしている傾向があります。後の「定着」のところでも触れますが、丸暗記が通用するのは「知識記憶」が優位にある小学時代です。「経験記憶」が発達してくる中・高時代は、理解していないと覚えにくくなってしまうのです。
 それほど「理解」が大切なのに、「理解」についてはあまり語られていないように思います。「理解」を詳しく理解することが、勉強のつまずきを解消することになると思うので、しばらく考察していきたいと思います。        校長 見目 宗弘