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絵で覚える実践例

 絵で覚える実践例を紹介します。


・遊び感覚で作った図面が試験のときにパッと浮かぶ 吉村康(仮名)・文科3類1
 年
 イメージ効果を利用して記憶する。
 図を描いてそこにポイントを書き込み、覚えるようにしていたという。
 「例えば、歴史の教科なら、大きめの紙にまず地図を描き、各国それぞれの場所 
 に、同じ時期に起きたことを書き込むようにしていました。すると、ある国の事柄
 が試験に出たとき、この図が浮かぶとともに、ほかの国で起こった事柄も連鎖的に
 思い出すことができる。ビジュアルが伴っていると、その図に関連して頭の中から
 引き出しやすいんですね。文章だけの暗記では、そうはいかないでしょう。」p.
 37『東大生が選んだ勉強法「私だけのやり方」を教えます』東大家庭教師の会著
 (PHP)

 
 右脳の側頭葉を活用した実践例です。    校長 見目 宗弘

海馬をだます(4)知識記憶を印象的にする

 知識記憶を経験記憶にする方法を見てきましたが、知識記憶のまま記憶する方法もあります。それは、語呂合わせや映像化してインパクトを残して覚える方法です。覚えたことを保存しておく側頭葉は右脳と左脳の両方にありますが、右脳の側頭葉を使うのです。右脳は容量が大きいので、記憶が保持されやすくなります。

 
 文字よりも映像の方が覚えやすいのも、脳の特性です。文字情報が左脳で記憶され
 るのに対し、映像情報は右脳で記憶されます。「一説によると、右脳の記憶できる
 容量は、左脳の100万倍。データ量に置き換えれば、1テラ・バイトと1メガ・
 バイトの違いで圧倒的な差です」。 「記憶法89頭の中を『劇場化』」『読売新
 聞』2013年(平成25年)2月23日(土)

 
 この新聞記事では「頭の中に覚えやすい映像を作り、その映像を記憶してしまうのです。」とあり、覚えることを絵などにして右脳で覚える方法が示されています。
 知識記憶は思い出すときに手がかりがなく、思い出しにくいという欠点がありますが、このように絵として覚えていれば、思い出しやすいと思います。 
                         校長 見目 宗弘

海馬をだます(3)場所を変える

 覚える場所を工夫して、経験記憶を定着させるという方法もあります。公園で覚える実践例です。

 
 栗田さんは中学生に、平家物語の冒頭を公園を歩きながら暗記させたことがありま
 す。運動感覚を使って場所記憶をいかし、個々の文章を定着させると、公園を思い
 出すだけで自然と文章を想起できるようになったそうです。 「記憶法22散歩風景と
 結びつけ」『読売新聞』2011年(平成23年)9月9日(金)

 
 引用に出てくる栗田さんとは栗田昌裕さんという大学教授です。栗田先生の方法は覚える場所を変える方法で、「三角記憶法」と命名した記憶法が特徴的です。3カ所で覚える方法です。

 
 例えば、覚えたい知識が書いてある参考書をある日、場所Aで勉強する(第1エピソ 
 ード)。別の日、場所Bでインターネットを使い、ホームページで知識を学び直す
 (第2エピソード)。さらに別の日に、場所Cで知識を友人に語って聞かせる(第3
 エピソード)。「場所・時間・見る角度を変え、意図的に3つの時空体験を作るの
 が三角記憶法。こうすれば根がしっかり張った知識を『エピソード記憶+意味記
 憶』の連合体として形成できるようになるのです」。栗田さんが三角形の図をなぞ
 りながら、解説してくれました。 「記憶法21エピソード3つ作る」『読売新聞』
 2011年(平成23年)9月2日(金)

 
 引用に出てくるエピソート記憶とは学習の時と場所を特定できる記憶です。引用の意味記憶とはいつどこで学習したかを特定できない知識や事象に関する記憶です。場所を変えて覚えることで、記憶が鮮明になり覚えやすくなります。この理論に基づき、家の中でも覚える場所を変えてみると覚えたものを思い出しやすくなると思います。                   
                        校長 見目 宗弘

中学生にあった暗記法

 今まで見てきたように知識記憶より経験記憶の方が記憶に残ります。経験記憶でも、ただ体を使うよりは理解を伴う活動を大切にする必要があります。

 
 高校生になると、丸暗記よりむしろ理論だった経験記憶がよく発達してきます。そ
 れは、ものごとをよく理解してその理屈を覚えるという能力です。当然、勉強方法
 もそうした作戦に変えていく必要があります。丸暗記はいけません。高校生にもな
 れば、もはや丸暗記は効果的な学習法とは言えません。pp.157-158『最
 新脳科学が教える高校生の勉強法』池谷裕二著(ナガセ)

 
 中学生は丸暗記から理解した上での暗記に切り替えるときです。暗記しながら自己説明したり、暗記しててもわからないところを調べたりということが定着を確かなものにします。                    
                           校長 見目 宗弘

海馬をだます(2)体を使う実践例

 体を使う、暗記の事例を紹介します。

 
 五感をフル活用するのが決め手 本橋寛生(仮名)・文科1類1年
 「暗記ものは音読するのが一番」と主張するのが、本橋寛生(仮名)さん。
・「目で読んだだけでは、絶対に覚えられないじゃない。目からだけでなく、耳、口
 を使って頭に入れないと。実際、僕の今までの経験から考えても、繰り返し何度も
 音に出す方が、記憶の定着率は断トツに上がります。」
 と語る本橋さんは、次のようなやり方で音読し、記憶ものをこなしていたという。
 「まず初めは、ざっと音読します。もちろん家で行うのですが、声の大きさはなる
 べく大きめに。普通のしゃべり声ぐらいまでは、出すようにした方がいい。そして
 2回目は、目をつぶって音読。今度は、一度その部分を離れて違うページに行き、
 その後再び先ほどの箇所に戻り、目をつぶってまた音読。目をつぶっていても、口
 からすらすら出てくるようになったら合格ですね。出てこないようなら、何度でも
 繰り返す。暗記に関していうなら、反復することが何より重要ですから。」pp.
 12-13
・「座って読むだけでは、気が滅入っちゃいますから。机の前という固定された状況
 にずっといることに、飽きてしまうんですよ。なので、音読は歩き回っていた。こ
 れなら動きが伴うので、五感をフルに使っている感じがしてよかった。当時は部屋
 の中をグルグル回りながら、暗記していましたね。」p.13『東大生が選んだ勉
 強法「私だけのや り方」を教えます』東大家庭教師の会著(PHP)

 
 本当に体を使っているのがわかる記述です。    校長 見目 宗弘