海馬をだます(3)場所を変える
覚える場所を工夫して、経験記憶を定着させるという方法もあります。公園で覚える実践例です。
栗田さんは中学生に、平家物語の冒頭を公園を歩きながら暗記させたことがありま
す。運動感覚を使って場所記憶をいかし、個々の文章を定着させると、公園を思い
出すだけで自然と文章を想起できるようになったそうです。 「記憶法22散歩風景と
結びつけ」『読売新聞』2011年(平成23年)9月9日(金)
引用に出てくる栗田さんとは栗田昌裕さんという大学教授です。栗田先生の方法は覚える場所を変える方法で、「三角記憶法」と命名した記憶法が特徴的です。3カ所で覚える方法です。
例えば、覚えたい知識が書いてある参考書をある日、場所Aで勉強する(第1エピソ
ード)。別の日、場所Bでインターネットを使い、ホームページで知識を学び直す
(第2エピソード)。さらに別の日に、場所Cで知識を友人に語って聞かせる(第3
エピソード)。「場所・時間・見る角度を変え、意図的に3つの時空体験を作るの
が三角記憶法。こうすれば根がしっかり張った知識を『エピソード記憶+意味記
憶』の連合体として形成できるようになるのです」。栗田さんが三角形の図をなぞ
りながら、解説してくれました。 「記憶法21エピソード3つ作る」『読売新聞』
2011年(平成23年)9月2日(金)
引用に出てくるエピソート記憶とは学習の時と場所を特定できる記憶です。引用の意味記憶とはいつどこで学習したかを特定できない知識や事象に関する記憶です。場所を変えて覚えることで、記憶が鮮明になり覚えやすくなります。この理論に基づき、家の中でも覚える場所を変えてみると覚えたものを思い出しやすくなると思います。
校長 見目 宗弘