暗記のポイント2 海馬を活かす 寝る前の暗記学習
海馬は大切な情報を選別するので、覚える量を減らすというのが、前回の方法でした。もう1つ、海馬の特性を活かした暗記方法は寝る前に暗記学習をするということです。これは海馬が寝ている間に情報を整理してくれているという特性を活かした暗記方法です。
『記憶力を強くする』などの著書がある脳研究者の池谷裕二・東大准教授による
と、脳は眠っている間に、日中経験したことを再生していることが分かっているそ
うです。睡眠は脳の情報を整え、記憶を強化するために必須な過程で、特に再生し
ているのは寝る直前の時間帯の情報。そう聞くと、寝る前に勉強した方が効果的な
気がします。(中略)テスト前の緊張で「寝なければ」と気ばかり焦り、眠れない
経験をした人もいるでしょう。でも、電気を消し、布団に入って寝るふりをするだ
けでも、脳内の情報整理には効果があるそうです。「ただし、ラジオを聞いたり、
本を読んだりしたらだめ。睡眠の効用は期待できません」。池谷准教授は、そう話
します。「記憶法①眠ってアマタを整理」『読売新聞』2011年(平成23年)
4月1日(金)
塾講師の安河内哲也先生もこのことを実証するように勉強の体験を示しています。
暗記の方法は様々ありますが、私は受験生のとき、山川出版社の世界史の教科書を
自分で朗読したテープを作り、それを寝る前に枕元で再生していました。朝起きて
すぎに、またその部分を確認すると、ちょっとした時間ですが、かなり記憶を定着
させることができます。p.132『今日から始める「やる気」勉強法』
寝る前を暗記のためにうまく活用している人は多いようです。
・寝る前にただ聞くだけで覚える⁉ 藤田智泰(仮名)・文科2類1年
眠りながら記憶する方法
英語の勉強において、多くの東大生が口をそろえるのは「英語は英文をそのまま理
解し、覚えていくべき」ということ。英単語を細々と調べ上げ、英文を文法に沿っ
て解体して和訳し、1つひとつの単語を記憶して……などというやり方は、NGとい
うわけだ。実際、英語の長文をスラスラと読み解くには、英文全体を見るだけで意
味がわかるようになっている必要がある。そのためにも「英文のまま理解し、覚え
る」ことが重要というわけだ。p.32
・「重要英文は、寝る直前に耳で聞いて覚えていました。眠くなったら、英文リスニ
ングの用意をし、聞きながら寝るというのを日課にしていた。眠いながらも、毎日
毎日何度も聞いていれば、自然と頭に入ってくるものですよ」。p.33
・「就寝前に聞く英文は、完全に理解しているものを選んでいました。これなら、新
たに頭を使う必要がない。既に理解している重要英文20コぐらいを、毎日30分
かけて聞く。同じ英文を2ヵ月ぐらいかけて、毎日繰り返し耳に入れるわけです。
すると、英文全体の音の流れが覚えられる。"記憶しなくては"などと意識せず、本当
にただ聞いているだけという状態でいるのがコツです。まあ、もともと眠いなかで
リスニングをしてい るのですから、ただ聞いているだけしかできませんけどね
(笑)」。p.33『東大生が選んだ勉強法「私だけのやり方」を教えます』東大
家庭教師の会著(PHP)
海馬の働きをうまく利用することで結構覚えられるようです。 校長 見目 宗弘