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教科書は冷凍食品

    齋藤孝さんは教科書は偉人たちの発見をまとめたものなので、感動できるおもしろいものだと言います。

  実は、その結晶が集まっているのが教科書なのです。歴史学者の知的興奮がつまっ
       て、歴史の教科書になる。化学の教科書には、化学者の発見が満ちている。人類の
       偉人や天才たちが発見したその驚き、最高の知的興奮が、冷凍保存されてつまって
  いるのが教科書なのです。p.50
 
 だから、教科書を学ぶことは感動を味わうことだと言います。
 
  勉強の感動とは、すなわちその知識を発見してきた偉人たちの感動の追体験だと言
  えます。pp.47-48
 
 教科書には最高の知的興奮があると言われても、ピンと来ないかも知れません。それは教科書に書かれたことは当たり前のこと過ぎて、わくわくしないからです。例えば、小学校の国語の教科書の「はじめ・なか・おわり」という文章構成。低学年から出てきていて、わくわくしません。しかし、次の説明を読むとどうでしょう。今から2千年以上も前のことです。

  例えば、最初のレトリックの教師の一人であるコラクスは、法外な謝金をとって、
  ひとつの「秘術」を伝授していた。ある順序で弁論を行えば成功間違いなしという
  のである。その「秘術」とは、実は「序論ー本論(論証)-結論」であった。これ
  は現代のわれわれから見れば、文章構成のイロハであるが、当時にあっては決して
  そうではない。この程度の簡単な技術であっても、それは言語使用の実践から自然
  に生み出されるものではなく、技術として定式化されるにはやはり一人の「天才」
  を必要としたのである。p.342 『音声言語指導大事典』高橋俊三編(明治図
  書)より

 説明の中の「序論ー本論(論証)-結論」が「はじめ・なか・おわり」です。「はじめ・なか・おわり」は、発明当時、法外なお金をとって教えられていたことなのです。教科書の中にはこのようなことがたくさんあるのかも知れません。齋藤孝さんは言います。

  教科書の中に冷凍保存されているものをちゃんと解凍して味わえば、学者が発見し
  たときの興奮を、私たちも再体験、追体験することができる。そういう知的興奮を
  どれだけ自分に巻き起こせるかが、勉強する上でのカギです。いかに学んで感動す
  るか。学ぶ感動を日々得ることができたら、学校での勉強はもちろんのこと、人生
  そのものがすごく楽しくなります。p.51
 
 教科書の中の冷凍食品を解凍すると勉強が楽しくなるのだと思います。  
                           校長 見目宗弘