理解は説明の仕方、説明内容、説明者に左右される(2)
3 大切なポイントを理解する
理解には理解のポイントがあります。それを押さえることで理解しやすくなります。
認知心理学者の市川伸一先生は『勉強法が変わる本ー心理学からのアドバイス-』(岩波ジュニア新書)という著書の中で数学の理解のポイントを示しています。数学の勉強で大切なのは「日常モード」と「学問モード」の区別です。
ぼくたちは、日常語については、定義をいちいち習わなくても、いろんな具体例を
通して意味がわかっていることが多い。イヌの定義を聞いた覚えがある人はいない
だろう。子どものころから「あれは、ワンワン」とか「あれは、ニャンニャン」と
か教えられて,自分でも使っているうちに、意味をつかんでしまうのである。当然
ながら、定義を求められてもうまく言うことができない。こういうのは、日常モー
ドの学習といえる。一方、学校での勉強はだいぶようすが違う。数学をはじめ定義
がたくさん出ている。もともとは、それぞれの学問の中で決められたもので、それ
が教科書に書かれている。「……を○○という」というパターンになっているもの
は、まず定義だと思ってさしつかえない。それを通して、意味を理解せよと言われ
るのである。これが学問モードの学習だ。それまで日常モードでやっていた子ども
にとってはかなりつらい。でも、とりあえず、この2つの習い方の違い、つまり
「日常モード」と「学問モード」の違いを意識しておくこ とは大切だ。pp.68
-69
数学の勉強のポイントは「学問モード」の勉強に切り替えることです。
習ったはずなのにわからない、説明できないという人は、勉強方法を直したほうが
いい。日常モードでの学習に留まっている可能性が高いからである。学校で習う教
科の世界とは、もう学問モードにはいっているのだ。もちろん、学問の世界とまっ
たく同じではない。定義が簡略化されたり、あいまいにされたりしているところは
あるが、少なくとも中学校、高校では、もうその入口から中にはいっている。p.
73
「学問モード」の勉強でかんじんなポイントは「定義と具体例」を押さえることです。
・学問モードでは定義をつかって学習やコミュニケーションがなされるんだけど、そ
れだけじゃわかりにくいんで、具体例とセットにするわけだ。それが学び方の第一
歩だよね。p.73
・では、うまく説明できなかったときは、どうするのだろうか。簡単なことである。
教科書や参考書を見直してみればいい。とくに、定義と具体例に注意して読むの
だ。ぼくが学習相談をする中で見ている限り、そうした読み方をしている生徒はほ
とんどいない。数学や物理では、教科書などほとんど読まずに、問題を解いて答え
合わせをしているだけという生徒がすごく多い。それでは先生の解説や、テスト問
題の意味さえわからなくなってくるのも当然である。pp.73-74
このように大切なポイントを押さえて理解することで、理解しやすくなります。
各教科、それぞれの単元でポイントがあります。ぜひ、各教科の先生にポイントを教えてもらってください。4に続く。 校長 見目 宗弘